製造現場では、原材料の選定や企画設計、試作といった工程において「スペック」の追求に重きを置きがちです。しかし、そこには顧客が抱える「不安」や「迷い」といった心理的視点が欠けていることが少なくありません。本日は、真珠ネックレスを例に、作り手の経験や勘に頼らず、顧客の心理的価値をどのように数値化し、再現可能な製品仕様へと変換していくべきかを整理します。
「スペック」と「心理的障害」の間に存在する乖離
多くの場合、商品の製造工程は「良い素材を使い、正しく設計する」というスペックの積み上げで構成されます。一方で、買い手の心理には「後悔したくない」「自分に合うか分からない」というリスク回避の感情が常に付きまとっています。この作り手のスペック至上主義と買い手の心理的障害のズレが、組織内での合意形成を困難にし、結果として「なぜ売れないのか」が分からない状態を生み出しています。
心理的障害を「属性」として定義し、数字化するアプローチ
個人の経験や勘による意思決定から脱却するには、顧客の心理的障害(不安や迷い)を、スペックと同列の「製品属性」として定義することが有効です。例えば、真珠のサイズや光沢といった物理的な要素だけでなく、「着用時の安心感」や「シーンへの適合性」を一つの指標として扱います。これらを定量的に測定することで、抽象的だった顧客心理が、作り手が判断できる「材料」へと変わります。
コンジョイント分析を活用した「再現可能な製品づくり」
心理的価値を具体的な仕様に落とし込む手法として、コンジョイント分析の活用が挙げられます。顧客が無意識に行っている「価格と価値のトレードオフ」を数値化することで、どの心理的要素が購入の決め手になっているかを科学的に導き出せます。これにより、組織として根拠のある意思決定が可能になり、顧客の納得感と製造側の論理が一致した、再現性の高い商品開発が実現します。
