商品開発やマーケティングでアンケート調査を行っても、「数字は出たのに結局何も決められない」という経験は少なくありません。 満足度や価格評価、使いやすさといった数字が並んでも、次に何を変えるべきかが見えなければ、アンケートは単なる「情報集め」で終わってしまいます。

この記事では、問題解決型の視点から「アンケート結果が生かされない理由」と、「判断に直結するアンケート設計」の考え方を整理します。

数字はあるのに判断できないアンケート
動画では、よくあるアンケート結果の例として、次のような数字が挙げられています。

満足度 72%

価格評価 54%

使いやすさ 68%

一見、それらしい数字が揃っていますが、「これで何を決めるのか」「どこを改善すべきか」が分かりません。 80%に届いていないから満足度は微妙、価格は評価が低いから高いのだろう、といった主観的解釈がバラバラに飛び交うだけで、具体的な行動にはつながりません。

根本原因は、「何を判断するためのアンケートか」が決まらないまま、満足度や価格、デザイン、機能、他社比較といった質問をモラ的に並べてしまっている点にあります。 問題定義も仮説もないため、数字があっても意思決定に使えません。

問題と仮説がないアンケートは「情報で終わる」
手法先行で「とりあえずアンケートを取る」アプローチでは、次のような状態になりがちです。

アンケートは実施し、回答数も十分取れている。

集計もされているが、結論が出ない。

解釈が分かれ、次の行動につながらない。

これは、「何を判断したいのか」「どの仮説を検証したいのか」が不明確なまま質問を作っているためです。 質問がモラ的になり、判断に必要な数字だけを取る設計になっていないので、結果として「やっただけ」「KPIとして数字を出しただけ」で終わります。

時間も人もお金もかけて調査会社まで使ったのに、「満足度72%」「価格評価54%」といった数字を眺めて悩むだけでは、担当者も浮かばれません。

アンケートは「検証装置」として設計する
著者は、アンケートを「検証装置」として位置づけています。

まず、解くべき問題と仮説を明確にする
例:「初期設定に負担がかかりすぎて利用が進まないのではないか」「価格が障壁になっているのではないか」

次に、「その仮説が正しいかどうか」を確かめる質問だけを設計する
例:設定にかかった時間、つまづいた箇所、離脱ポイント、再購入意向、総合満足度など。

こうすることで、数字が「何を意味しているのか」がはっきりし、改善するか否かといった意思決定につなげやすくなります。 単に「満足ですか?」ではなく、「どこでどの程度つまづいたか」「それが再購入意向や総合満足度にどう効いているか」といった因果関係を意識した設計が重要です。

守護が明確になるとアンケートは作りやすくなる
問題と仮説が決まると、「何について聞いているのか」という守護が明確になります。

売れない理由を知りたいのか。

買ってもらえる理由を知りたいのか。

リピートの決め手を知りたいのか。

守護が決まれば、聞くべき項目と聞かなくてよい項目の線引きができ、モラ的な質問を減らすことができます。 その結果、アンケートは「情報集め」ではなく、「判断材料を集めるツール」に変わります。

手法の良し悪しを分けるのは「起点」
インタビュー、アイデア発想、アンケートはいずれも有効な手法であり、それ自体が悪いわけではありません。 成果を分けるのは、「何から始めるか」という起点の違いです。

問題が不明確なまま手法から入ると、情報だけが残り、価値が生まれません。

問題と仮説を起点に手法を選べば、結果は判断に変わり、課題解決や価値創造につながります。

売れない理由から「買ってくれる理由」「買いたいと感じるポイント」を聞くアンケートへと変えることで、次の一手が見えるようになります。