「早く決めて、早く動く」ことが正義とされるビジネス現場において、皮肉にも会議が踊り、結局何も決まらないという事態が多発しています。施策は打っているのに手応えが弱いと感じる時、組織は「問い」を立てる前に「答え」を探す罠に陥っています。今回は、なぜ組織において問いが立たなくなるのか、その背景にある3つの構造的理由を紐解きます。

過去の成功体験という「思考の制約」

問いが立たない最大の理由は、過去の経験や成功体験にあります。かつて上手くいった手法や判断の延長線上で考えることは、一見効率的で安全に見えます。しかし、過去の事例に依存しすぎると、外部環境の変化に気づく力が失われ、疑問を持つこと自体を放棄してしまいます。成功体験が強い思考の制約となり、前と同じ答えを探すだけの組織になっていないでしょうか。

「答え前提」の議論が招く意見の対立

会議の設計自体が「答え(解決策)」を出すことだけに特化している場合、本質的な課題を深掘りする時間は失われます。何を解くべきかが不明確なまま議論を進めると、参加者はそれぞれの立場や経験だけで発言せざるを得なくなり、結果として正解探しの泥沼にハマります。「なぜそれが必要なのか」という問いが共有されない限り、納得感のある判断基準を持つことは不可能です。

スピード重視が引き起こす「間違いの高速回転」

「早く形にする」というプレッシャーは、問いがズレたまま動き出すリスクを孕んでいます。問いが間違った状態でスピードを上げても、それは「間違いを早く回している」だけに過ぎません。大失敗には至らなくとも、本来目指すべき成果からは確実に遠ざかってしまいます。あえて立ち止まり、問いを疑う「思考の設計」こそが、最終的な意思決定の質とスピードを担保するのです。