多くの現場では、問題が見えていても「言わない」「言えない」状態が続き、改善も変革も進まなくなっています。 この沈黙は、単なる我慢ではなく、上下関係・評価・同調圧力などが作り出した組織的な防衛反応として構造化されていると説明されています。
問題が見えていても、なぜ言わないのか
現場では、ゴミが落ちていても拾う人と拾わない人がいるように、問題に気づいても行動しない・発言しないケースが頻繁に起こります。 その背景には、上司の顔色、評価への不安、同僚からの「余計なことを言うな」という空気など、組織特有の心理的圧力があります。
発言しないことは「我慢」や「大人の対応」として正当化されがちですが、実態としては組織が生み出した防衛行動であり、改善の芽を自ら潰している状態です。 その結果、表向きは波風立たないものの、問題は温存され続けます。
「言えない心理」を生む3層構造
言えない組織には、沈黙を支える心理の三層構造があると整理されています。
表層:発言を控えて無難にやり過ごす行動
会議で意見を求められても黙ってやり過ごすなど、「目立たないこと」が最優先になります。
中層:リスク回避の心理
「怒られたくない」「責任を負いたくない」という思いから、問題提起を避ける方向に心が働きます。
真層:過去の否定経験・トラウマ
かつて上司に「余計なことを言うな」「黙ってろ」と否定された経験などが蓄積し、「言わない方が得だ」という学習が固定化されます。
この真層を理解しないまま、「もっと意見を出してほしい」と求めても、現場は動かないと指摘されています。
言える組織に変えるための条件
沈黙の構造を前提にしたうえで、「言える組織」をつくるには、小さな発言を承認し、安全な対話の場を増やすことが重要だと述べられています。 単に会議で「何か意見は?」と振るだけではなく、雑談やランチの場など、評価と切り離されたカジュアルな対話が有効です。
具体的には次のような工夫が紹介されています。
雑談の中から本音や気づきを引き出し、「否定しないで聞く」上司が安全基地になる。
小さな提案や意見に対して「ありがとう」「助かる」といった承認を積み重ね、成功体験をつくる。
トップやミドル層が、評価と切り離した対話の場(ランチミーティングなど)を意図的に設ける。
心理的安全性がない環境では、人は絶対に本音を話さないという前提に立ち、「安心して話せる場」「否定されない体験」を地道に増やすことが必要だと強調されています。
