経営層からの指示や現場の課題に対し、良かれと思ってすぐに解決策を提示しているのに、なぜか現場が動かない、あるいは議論が噛み合わないといった経験はないでしょうか。管理職が直面するこうした停滞の多くは、能力不足ではなく、チーム内で「何を解くべきか」という問いが揃っていないことに起因しています。

現場に溢れる「答え」が判断を鈍らせる

実務に近い現場には、日々の改善案や手法といった「答え」が無数に存在します。しかし、それぞれのメンバーが異なる前提や目的で答えを持ち寄ると、会議はまとまらず、納得感のない意思決定が繰り返されることになります。管理職に求められているのは、自ら正解を出すことではなく、溢れる答えの中から「今、どの問いに向き合うべきか」という判断の軸を示すことです。

なぜ良質な施策ほど現場で反発を招くのか

どれほど論理的に正しい解決策であっても、現場のメンバーと「問い」を共有できていなければ、それは単なる押し付けに映ってしまいます。人は、自分が抱いている疑問や課題感と一致しない答えを提示されると、本能的に抵抗を感じるものです。改善活動が噛み合わない時、必要なのは施策のブラッシュアップではなく、チーム全員が同じスタートライン(問い)に立っているかどうかの再確認です。

思考の設計:判断基準を揃えて自走する組織へ

管理職の真の役割は、個別の案件に答えを与えることではなく、チームが自ら答えを導き出せるよう「思考の設計」を行うことにあります。

  • 共通の判断基準を言語化する
  • 組織の目標に紐付いた「解くべき問い」を定義する
  • メンバーの持つ知恵が同じ方向を向くように問いを整理する このプロセスを経ることで、個人の経験や勘に頼らない、組織としての強固な判断基準が確立されていきます。