新しい取り組みや改善活動を始めようとすると、必ずと言っていいほど「抵抗勢力」が現れ、組織が動かないという悩みが生まれます。 しかし、その原因は多くの場合、方法論の不足ではなく、人の反応と組織内の力学にあります。
改善が進まないのは「やり方」の問題ではない
動画では、改善が止まる理由の内訳として、「人の反応・心理」が約70%、「組織構造」が20%、「方法論」が10%というデータが紹介されています。 現場でいくら優れたフレームワークや手法を導入しても、抵抗や不安を抱える人たちの心理を無視すると、改善は途中で止まってしまうという指摘です。
現場には、改善に対するスタンスの異なる3つの層が存在します。
指示者(推進層)
中間層(どちらにも振れうる層)
抵抗勢力(変化に強い不安を感じる層)
この勢力構図を理解せずに「全員一斉に変えよう」とすると、現実の壁にぶつかり、組織は停滞します。
3つの勢力:指示者・中間層・抵抗勢力
どの組織にも、変化を推進する少数の指示者、周囲を見て態度を決める多数の中間層、変化を避けたい抵抗勢力が存在します。 数値は組織によって異なりますが、イメージとしては「推進層20%前後/中間層60%前後/抵抗層20%前後」と整理されています。
中間層は、指示者にも抵抗勢力にもなり得る存在であり、総論賛成・各論反対といった反応を示すこともあります。 一方、抵抗勢力は変化のリスクを強く感じ、「今のままがいい」「やめてほしい」と考えがちで、ここに無理にエネルギーを注ぐと、推進側が消耗してしまいます。
抵抗勢力は「悪」ではなく人間の防衛反応
動画では、抵抗勢力を「排除すべき悪者」と見るのではなく、「人間の防衛反応」として構造的に理解する重要性が強調されています。 新しいことへの抵抗は、誰にでもある自然な心理であり、慣れや習慣が強いほど、その変化に不安を感じやすくなります。
抵抗する人を力づくで抑え込もうとすると、組織内の分断や対立が深まり、改善どころか日常業務にも悪影響が出ます。 むしろ、「抵抗は前提」として捉えた上で、どの順番で誰を動かすかを設計する方が現実的です。
組織を動かすための現実的な一手
全員を一度に動かそうとするのは現実的ではなく、まずは指示者(推進層)を明確にし、中間層を巻き込んでいくことがポイントになります。 指示者と中間層で小さな成功体験を積み重ねることで、「やってみたら意外とうまくいく」という具体的な事例を見せ、抵抗勢力の一部が徐々に態度を変えていく余地が生まれます。
それでも、最後まで抵抗勢力のままの人が一定数残る可能性はあり、そのこと自体をゼロにしようとするのではなく、「そういう構造がある」と理解しておくことが重要だと述べられています。 抵抗を避けるのではなく、前提として織り込みながら、組織を少しずつ動かしていく視点が、停滞から抜け出す鍵になります。
