経営課題に対して、ひらめきや直感、あるいは長年の経験による「センス」で答えを出そうとしていないでしょうか。もちろん、経営者の直感は重要ですが、それだけに頼りすぎることは、組織としての再現性を失わせるリスクも孕んでいます。不確実な時代において、優れた答えを導き出すために必要なのは、ひらめきを待つことではなく、論理的に「問いを設計する」という工程です。

問いをセンスや経験で片付けない

「良い問いを立てるにはセンスが必要だ」と言われることがありますが、私はそうは思いません。問いは偶然のひらめきから生まれるものではなく、現状をどう捉え、どの変数を動かすべきかという「思考の設計」から導き出されるものです。センスや直感という言葉で片付けてしまうと、なぜその判断に至ったのかを組織内で共有できず、チームの思考を揃えることが難しくなってしまいます。

答えを出す前に立ち止まるための3つのステップ

場当たり的な解決策に飛びつかず、本質的な問いを立てるためには、まず以下の3つの視点で現状を整理する必要があります。

  • 現象の把握:今、目の前で何が起きているのかという「事実」を正確に捉える
  • 前提の確認:なぜそのような状況になっているのか、背景にある構造や前提を疑う
  • 変数の特定:状況を動かすために、何を変えれば良いのかという「鍵」を見極める このプロセスを経ることで、単なる「思いつき」ではない、解くべき価値のある問いが姿を現します。

意思決定の質を高める「問いを深める工程」

多くの組織では、課題が示されるとすぐに解決策を出すことが求められます。しかし、優れた経営判断とは、答えを出すスピード以上に、問いを深める工程に時間を割くことから生まれます。一歩立ち止まって、自分たちが解こうとしている問題は本当に正しいのかを検証する。この「思考の余白」を持つことが、的外れな施策を回避し、AI時代においても揺るぎない判断軸を確立するための鍵となります。