組織の停滞は、抵抗勢力やミドル不在だけでなく、「言えない空気」が固定化されていることでも生まれます。 沈黙が当たり前になった職場では、改善の出発点となる問題提起や気づきが表に出ず、何も起きていないように見える一方で、内側ではじわじわと劣化が進んでいきます。
沈黙は最大の損失である
商品開発で顧客の声が得られないことが致命的であるように、組織内でも「何も言われない」状態は最大の損失とされています。 「言わない」「言えない」「言うと損をする」という3つの沈黙が重なると、改善の出発点そのものが消え、問題は存在しないかのように扱われます。
上下関係や過去の経験が暗黙知として沈殿し、「どうせ言っても変わらない」「言うだけ損」という学習された無力感が広がると、組織は静かに停滞していきます。 表面上は平穏でも、実際には誰も本音を出さず、変化の芽が摘まれ続ける状態です。
「言えない構造」は3つの要因からできている
言えない職場には、構造・心理・文化という3つの層が絡み合った構造要因があります。
構造的要因:縦社会、形式的な会議、上位承認の重さなど、制度や仕組みの問題。
心理的要因:否定される恐怖、評価への不安、失敗回避など、個人の不安や恐れ。
文化的要因:前例主義、遠慮する風土、上司や管理職の機嫌で空気が決まる職場文化。
この3つがそろうと、会議室も職場も「シーン」と静まり返り、誰も本質的なことを口にしない沈黙組織ができあがります。 この壁を壊すには、構造・心理・文化の3層すべてに働きかける必要があると説明されています。
心理的安全性を高める具体的な工夫
心理的安全性を高めるには、「何を言ったかの内容」だけでなく、「どう言える場を設計するか」が重要になります。 動画では、次のような実務的な工夫が挙げられています。
対話の場を習慣化する
休憩中の何気ない会話や、雑談ベースのミーティングなど、評価と切り離された対話の場を増やす。
質問型リーダーシップ
ミドル層やリーダーは答えを先に出さず、問いを投げて相手の考えを引き出す役に回る。
安全なルールづくり
否定しない、途中で遮らない、すぐ結論を持ち帰らない、といった「話しても攻撃されない」ルールを明示し守る。
成果より「発言自体」を評価する
アイデアの精度ではなく、「言ってくれたこと」「気づきを共有してくれたこと」そのものに対して感謝と承認を示す。
こうした積み重ねによって、「居酒屋や喫煙室ではよく話すのに、職場では黙る」というギャップを少しずつ埋めていくことが目指されています。
