9月1日~4日に東京・新宿で開催された ICQ2025(International Conference on Quality) にて、
私は「Customer Value Creation and Product Planning Methods in Business Management」というテーマで発表を行いました。
会場の聴衆からは、
「全体として一般的で納得感のある内容だった」
という評価をいただく一方で、最後に示した提言が革新的かつ建設的な方がよいとコメントを頂きました。
この評価を踏まえ、改めて私の主張の要点を整理します。
- CX・CS・EXの三位一体 ― 成長サイクルの核心
私が繰り返し強調したのは、CX(顧客体験)・CS(顧客満足)・EX(従業員体験)の三位一体サイクルです。
EX(従業員体験)の充実が、主体性と創造性を引き出す
その成果がCX(顧客体験)に反映され、感動や共感を生む
その結果としてCS(顧客満足)が高まり、企業の持続的成長を支える
この循環は、単なる理論モデルではなく、実際の組織変革に直結する枠組みだと確信しています。
- 実践での注意点 ― コミュニケーションの力
ただし、ファシリテーターからの指摘にあった通り、三位一体モデルは図式だけでは不十分です。
実践には次の注意点が伴います。
・EX:ビジョン共有と双方向の対話なしには成立しない
・CX:数値データに偏らず、現場観察と共感を重視する必要がある
・CS:単なるスコア管理に留めず、「理由」や「背景」を解釈することが大切
つまり、成功の鍵はコミュニケーション設計にあります。
経営トップから現場までが同じ目線で学び合う仕組みが不可欠です。
- 生成AIの導入 ― データ思考の飛躍
ここに新しい可能性を拓くのが生成AIの活用です。
・CX領域:顧客の声をAIが解析し、潜在ニーズを抽出
・EX領域:従業員アンケートや日報からモチベーション変化を検知
・CS領域:顧客満足データを解析し、改善の優先度を自動で提示
人間が「対話と意思決定」に集中し、AIが「データ解析とパターン抽出」を担うことで、
従来の枠組みを超えた価値経営が実現可能になります。
- 私の提言 ― 革新的かつ建設的な未来像
私が参加しての提言は、次の3点です。
CX・CS・EXを統合した全社的成長サイクルを設計する
→ 部門ごとのサイロを越え、統合的に運用する
双方向のコミュニケーションを制度として組み込む
→ 現場とトップ、顧客と従業員が「共に学ぶ仕組み」を整える
生成AIと人間の協働でデータ活用を革新する
→ データ思考の限界を超え、人材育成・戦略実行に活かす
この提言は単なる理論ではなく、現場での適用を前提にした建設的アプローチです。
そして同時に、生成AIを組み込むことで、
従来にはなかった革新的な経営の形を描けると確信しています。
- 終わりに
ICQ2025は、組織の在り方や人材活用の重要性を再認識させてくれる場でした。
その中で「一般的で納得できる」と同時に「革新的・建設的である」との仮説構築が重要であり、
今後の実践研究に大きな励みとなりました。
今後は、CX・CS・EX統合モデル × 生成AI × コミュニケーション設計を
柱とした「価値経営」をさらに探究し、実務の中で検証を重ねていきたいと思います。